- あなたのこれまでの経歴を教えて?
V : 僕の名前はビンセント・リン。SMC Alsop 建築事務所で設計士として6年働いている。Alsop は建築設計の他にも地域開発、商品デザイン、イラストレーション、アニメーションなど様々な仕事を請け負っている会社だ。多種多様なデザインを手がける事で自分自身のスキルを高め、結果的に様々な要素を含んだ新しい建築のアイデアを生み出す事につながっている。それに良い建築を造るには、自分のアイデアを周りに明確に伝える事が大事だ。僕はロンドンで生まれ、7才の時に香港に移り住んだ。香港での10年間は僕にとって特別な体験だった。様々な国の人々と知り合い、シティーでの国際的な環境を経験できた事は本当に良かったと思っている。香港で学校を卒業した後はロンドンへ戻り、ずっと自分の夢だった建築家としての道を歩み始めた。
- デザインする際に常に心がけているコンセプトは?
V : 我々の建築は常に住民の事を考え設計されているため、とても社会的な建築と言える。まずその土地の歴史を知り、良く理解した地元民たちと意見を交わし、そこで得た知識をもとにその場所に最も適した建築アイデアを模索するようにしている。
- Alsop でのシニア設計士の仕事内容を教えて?
中世のテーブルを設定する方法
V : 毎回新しいプロジェクトを開始する時は、とても楽しみだね。まずクライアントと綿密な打ち合わせを重ね、彼らが何を求めているかを理解する。そしてすぐさま模型/ペインティング/ドローイングを開始する。最初に一本アイデアの線を引く事でスタートラインとなり、そこから考えを膨らませる事が出来きる。基本となる考えを持っていれば、その後のあらゆる決定もすべて最初のコンセプトに沿ったものになるからね。
- 建築家にとってロンドンは最高の活動場所といえる?
V : ロンドンは今まさに世界のクリエイティビティの中心地と言える。世界中の都市がロンドン近代建築をインスピレーションの情報源として見ているよね。
例えば 'フェリス式回転観 (ロンドン・アイと呼ばれる観覧車)' は、多くの国々に影響を与え造られている。'Sweiss RE (通称ガーキン)' などの近代高層ビルはとても持続性の高い建築でありながら、そのユニークなデザインが話題を呼び、今ではロンドンを代表する建築アイコンとして親しまれている。上海、ドバイ、デリなどの都市はこれらロンドン建築を見て、自国にも世界で認識されるようなコンテンポラリーな建築アイコンを計画している。これに伴い世界中から優れた建築家が、ロンドンに集まり活動している。ここでは多くのアイデアが飛び交い、お互いを刺激し合い、新しいテクニックやデザインが生まれている。我々建築家にとって、これほど最高な場所は無いよ。
大恐慌の時
- 現代建築は建築設計と建築工学(エンジニア)によって造られていますが、この2つの関係について?
V : 当時は建築家とエンジニアの区別は無く、石工職人も木工職人も商人の役割をこなしていたと考えられる。建物の需要が増え多くのテクノロジーを使用するようになり、建築家としての役割が徐々に現れてきたんだ。建物の様々な接続方法や、多くの素材の知識が必要になり、建築設計はどんどん複雑化して行った。これにより効率よく作業を分担するために、建築設計と建築工学の2つの役割が出来たんだ。設計士は様々な角度から建物をコーディネートし、エンジニアは建物の構造、機能性、持続性、環境問題など様々な問題を解決するようになった。
- あなたにとって "発展" とは?
V : 物事を進歩させるその過程をさす言葉だと思う。そこには多くのフィードバックも関係してくる。都市に何かしらの変化が生じる場合に、それを見極め、反応し、いかに順応させるかが、建築家にとって大事な能力だと思っている。
- 数年前から建築界で注目されている "Sustainability (持続性)" について?
誰がローマ数字を発明した
V : 持続性を持つ開発は、建築にとってとても重要な課題だ。我々は自分たちの造る建築物が周りの環境にどんな影響を与えるか、また将来的にどう変化して行くか考える責任がある。建築物がおよそ40%から50%に及ぶ二酸化炭素排出の原因になりうると考えた場合、我々はいかに効率よく建設するかを検討する必要がある。
これには建物をきちんと被覆する事でエネルギーの消費を軽くし、また膨大な消費エネルギーをいかに効率よく利用するかを考えるんだ。風力発電、太陽電池、CPH などは、自然エネルギーを利用する代表的な方法だが、これらは莫大な金額がかかる割に得るエネルギー量は比較的少ない。我々は新しいテクノロジーを試みる前に、まずどんな素材を使って建物が造られ、順応して行くかを見直す事が大事だと思う。別に新しいテクノロジー反対という訳ではないが、新しい建物の下部構造をよく理解した上で最も適した方法を使う事が大事だ。これらの考えは、現在多くの人々によって見直されている課題だ。これにより我々建築家やエンジニアは、建物が長期に渡りどのような影響を及ぼすかを考え、適切な解決方法を見つけ出すように務めている。
- 革新的と言える過去のプロジェクトを教えて?
V : Sterlingプライズを受賞した「Peckham 図書館」のプロジェクトは、今でも記憶に強く残っている。建物の中心が正方形にそびえ立ち、その地域を象徴している。逆 "L字型" の建物は雨が入ってこない傘の役目をして、ロンドンの悪天候から住民を守っているんだ。
現在はロンドン市によって建設をサポートされている高層ビルのプロジェクトが多く、これらは狭い建設面積に節約的な下部構造、持続的に人々が利用できる建設を目的としている。ちょうど今我々は、外付けの煙突を使い、使用されない熱を建物外へ逃がす事が出来ないか考えていて、これがうまくいけば室内の熱を効率よく下げて、冷房の余計なエネルギーを使わなくて済むようになるんだ。
Website : http://www.alsoparchitects.com
Written by Selph
Translated by Irie
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