そして、さらに人々を驚かせたのは、この四人を真似するティーンがあらわれたことだ。この事件のニュースが流れるとすぐに、町から700マイルも離れたイリノイ州で、友人同士の19歳と17歳の娘たちが、家のガレージで同じ方法で自殺した。一方、バーゲンフィールドでは、事件の一週間後に、17歳と20歳のカップルが、事件現場で同じ型のクルマ、同じ方法で自殺をはかったが、こちらは未遂に終わった。こうしてバーゲンフィールドは、マスコミの注目の的になっていく。
ゲインズによれば、ティーンの自殺は、50年代から80年代までに三倍に増えているという。最近では毎年、5000人以上のティーンが自殺で死亡し、推定で年間40万人が自殺をはかっている。しかも、数字的には80年までに歯止めがかかったかにみえたが、80年代後半から再び増加を始め、いまやブームというべきものになっているということだ。そして、自殺するティーンのなかでは、地方や郊外に暮らす白人が最も多いという。
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そこで、バーゲンフィールドの事件を出発点にして、こうしたティーンの自殺の背景にせまるのが『Teenage Wasteland』ということになるが、ここではこの本のなかから、これから取り上げる事件とも関係して印象に残ることを、いくつかあげておきたい。
まずバーゲンフィールドは、ゲインズにいわせると、80年代まで生きながらえている50年代の町だということだ。この町は50年代の郊外化を絵に描いたように成長し、激動の時代には緊張もあったものの、いまも昔ながらの親密なコミュニティを維持している。町には少なくとも七つの教会があり、信仰の面での結びつきも息づいている。
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これは、一般的な観点からすれば中流の人々が暮らす町ということになるが、住人たちは、労働者階級の町というように表現するという。それでもこの町は、貧富の差が拡大するレーガンの時代に、それほど経済的な打撃をこうむることがなかった。というのも、電気技師や配管工、工事の請負人など家屋の修繕やそれに関連したサービスを主な仕事にしている町の人々は、周辺のさらに裕福になっていくコミュニティから仕事を得ることができたからだという。
ところで、この親密なコミュニティを、そこに暮らすティーンの視点で見た場合には、どこに行っても顔見知りの人々の視線がつきまとう世界ということになる。そこでゲインズが、最近、町で起こったティーンの自殺事件を調べていくと、それぞれの現場は、自殺したティーンがかろうじてコミュニティの視線を逃れ、心を休めることができる隠れ家ともなっていた場所であることがわかってくる。
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ゲインズは、60年代末か70年代であれば、郊外のティーンには、町を離れてアメリカを探すという夢の"路上"があったが、バーゲンフィールドのような町のティーンには、そうした前の世代の夢は失われているという。つまり、出口のない状況で、死角を求めて町をうろつくしかないのだ。
そして、次に注目したいのは、バーゲンフィールドのような典型的な郊外の町では、ティーンのなかで、スポーツ選手たちが町全体から特別な待遇を受けていたということだ。ティーンを主人公にしたアメリカ映画を観れば、そういったヒーローにはたくさんお目にかかることができるが、郊外のティーン全体を見渡したとき、スポーツ選手と死角を求めてさまようティーンは、対立する関係になっているという。いわば郊外のティーンの光と影なのである。
ゲインズは、それぞれのティーンと彼らの両親との関係を、スポーツとロックという観点から対比している。つまり、スポーツは両親と子供をつなぐ最良の絆になっているのに対して、郊外で出口を失ったティーンが熱中するロックは、ほとんど世代で分断されてしまっているということだ。後者に関係についてゲインズは、バーゲンフィールドに住むある親子の例をあげているが、父親も息子もピンク・フロイドが好きだが、父親はモトリー・クルーにはまったくついていけないという。
そして最後に、ロックとも関係してもうひとつ注目しておきたいのは、スラッシュ・メタルやデス・メタルといったメタル系ロックの歌詞、ジャケット、ファッションから浮かび上がるサタニズムと郊外の関係である。バーゲンフィールドは、先ほども触れたように信仰による結びつきが残る町だったが、ゲインズによれば、ロックのサタニズムに熱中する傾向が最も高いのは、信心深い両親と暮らすティーンであるという。
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