しかも、総務省の「家計調査年報(家計収支編)平成21年家計の概況」によると、勤労者世帯に占める住宅ローン返済世帯の割合は36.3%と、1979年に集計を開始して以来最高の数字となっている。(2人以上の世帯のうち勤労者世帯から集計)
サブプライムローン問題は決して他人事ではない。これは、何か大きなショックが起き、金利の急騰が起きれば、日本でもアメリカと同様に住宅を手放す人が急増することを示唆している。
どれ程の� �くの方が、金利上昇のリスクを把握しているのだろうか。1990年代後半以降、長期金利が1%台で推移していることからも、金利が上昇する可能性はほとんどないと感じている人も多いのだろう。あるいは、金利が上昇し始めてから、固定金利に変えれば良いと思っている人も多いはずだ。
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しかし、事態は急変する可能性があるのだ。ここまで国の財政が悪化すれば、危機の表面化は、いつ何をきっかけに起きるか分からない。金利の急騰後に、ローンを乗り換えるのでは手遅れとなる可能性がある。
変動金利で住宅ローンを組んでいる場合、毎月の返済額は5年に1度、適応金利は半年単位で見直しをするものが多い。また、「返済額は上がっても直前の1.25倍まで」という規定がある場合が多いため、金利が急上昇した場合でも、すぐに月々の支払額が増えることはない。例えば、最初の5年間に10万円を毎月支払っていた場合は、原則、次の5年間は最大でも12.5万円ということだ。
しかし、半年毎にやってくる適応金利の見� ��し時期に金利が上昇していると、住宅ローンの毎月の支払額を超える利息が発生する可能性があることを忘れてはならない。例えば、毎月10万円を支払い続けているにもかかわらず、金利が急上昇したため、利息が毎月15万円となれば、元金が減らないばかりか、「未払い利息」が5万円残ってしまうということだ。これが蓄積していくと、住宅ローンの残高が減るどころか、膨張していく。
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金利がどの程度になれば「未払い利息」が発生するかは、【毎月の返済額×12ヶ月÷ローン残高×100】で計算できる。毎月10万円を支払い、ローン残高が3000万円の人は金利が4%を超えると「未払い利息」が発生するということだ。
現在、住宅ローンの変動金利は1%を切っているものもあるが、この程度の金利差など、何か大きなショックがあればすぐになくなる。ギリシャなど、財政危機が表面化した国の金利の推移を見れば一目瞭然だ。
「未払い利息」が発生した場合の対処方法は銀行によって異なるが、「未払い利息」を分割して月々の支払いに上乗せして支払うか、最終返済時に一括して払う、あるいは「未払い利息」を優先して支払っていく、 のいずれかとなる場合が多いようだ。「未払い利息」が発生した場合の対処方法が気になる方は、契約書を確認するか、借り入れをしている銀行に問い合わせをされた方が良いだろう。
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固定金利期間選択型を選択している方も金利が急騰した際は注意が必要だ。一般的には「返済額は上がっても直前の1.25倍まで」といったような規定がないため、金利が固定されている期間が終え、適応金利の見直し時期に金利が大幅に上昇していれば、毎月の支払額が一気に2倍、3倍になってもおかしくはない。
財政危機が表面化した後は、現在ほどの低水準で金利が推移することはあり得ない。また、いったん跳ね上がった金利は、元に戻らないだろう。
よって、「変動金利」「固定金利期間選択型」で住宅ローンを借りている人を中心に、ローンを返済することができなくなり、住宅を失う人が続出するはずだ。最悪の場� ��、住宅を失うばかりか、自己破産をしない限り、債務返済に追われ続けるという状態になる。
現在の日本には、金利の急騰リスクが間違いなく存在する。このあたりは、自己責任の世界だが、より多くの人が「全期間固定金利型」の住宅ローンへ乗り換えるなど、リスクを軽減する策をいち早く練ってくれることを願うばかりだ。
井上悦義(アゴラ執筆メンバー)
ブログ:
※参考資料
フレディマック(連邦住宅金融抵当金庫)2006年調査(以下P3)
平成21年度民間住宅ローンの実態に関する調査報告書(以下PDFファイルP7)
「家計調査年報(家計収支編)平成21年家計の概況」(以下6)
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